臨床家としての私の理念--文京学院大学 福井 勉

 私はこれまで理学療法士として約28年間、微力ながらも臨床と教育に力を注いできました。その中で、たくさんの患者さんと向き合い、多くの優れた臨床家の方々と出会いました。私は自分のことは言える立場ではありませんが、こうした経験を踏まえ、自分なりに感じてきたこと、重要視して行ってきたことなどを紹介させて頂きます。

 私は幸運なことに多くの優れた臨床家の方々と出会い、お付き合いさせて頂いてきました。その方々には共通点があるように思います。その共通する特徴が私の臨床家としての理念にも、少なからず影響を与えてきたように思います。それは主に次の三つの特徴だと考えています。

 第一の特徴は、「この仕事がとてつもなく好き」ということです。興味の対象であるため、この仕事を考えているうちは、食事をとらなくても、あまり寝ないでも済むようです。

 第二の特徴は「自己信頼度が強い」ということです。例えば評価ひとつにしても、自分の目と手に信頼がおけなければ頼りにすべきものが無くなってしまいますから。

 第三の特徴は「強耐性を有している」ということです。成長の過程においては、多くの挫折もあったのだろうと思いますが、これが諦めず、前進し続ける力を産み出しているように思います。

 以上のことが波及して、仕事がその人自身を人間的に成長させ、独特の哲学を産んでいるように感じます。人生が生産的になり他の人に影響を与えることになっても、さらに創意工夫を凝らし技術を深めることを続けているようにみえます。

 では、現実の理学療法という仕事の現場ではどうかと言うと、挙げられる特徴は、個人間の差が大きいことだと思います。新卒でも自分の実力に不安を抱いて切磋琢磨する人もいますし、ベテランでも陳腐化した知識と技術で仕事を続けている人もいます。もともとこの仕事に対する世の中の需要は、「患者のために必要な運動機能を改善する技術提供」であると考えます。その中身に自信を置くためにはトレーニングが必要になるため、毎週数多くの講習会が行われているのだと考えています。ただ、知識が向上しても重要なことが何かについて把握することが個人任せになっていることは不安材料なのかもしれません。

 では自信をつけるためにはどのようにすればよいのでしょうか。それはやはり臨床において、まず結果を出すことだと思います。我々は本来そのために仕事をしているのですから、それが最も大きな自信となるのだと思います。そして、そのために自分の技術と知識を向上させることは当然だと思います。また、そのためには自分自身の方向性を決めることも大きいと感じます。自分自身を進める方向と力が明確であるかどうか、そのエンジンは他人ではなく自分であること。ただし、その方向は自由であるが故に決められない人が多いのも事実だと思います。
 上記を達成するために、具体的に私が行ってきたことは次のようなことです。

・ 知識と技術の蓄積方法自体を自分で構築すること
・ 人前で発表する(学会、研修会、院内での勉強会など何でも)
・ 本質的な問題を避けない
・ こつこつと諦めないでトレーニングする

これらのテーマについて
1. 具体的目標を設定する。
2. 期限を設ける
3. 強くイメージする
4. 絶対やる
ことができればテーマは達成されると思います。

単純化すると怒られそうですが、
到達するレベルは「環境×持続力×実行力×熱意」で決まる
というのが今の所の私の結論です。中でも忘れがちなのが持続力ではないでしょうか。私自身、全く人に言える立場ではありませんが、こつこつと前進することほど強いことはありません。

さらに加えて、大切なことを述べれば、
・ 批判を人から受けても自分からはしない(人間が小さくなります)
・ 明るく、楽しく、のびのびと
・ 長い後悔をしないこと(反省は深く短く30秒)
・ 経験や学歴はあまり関係ないことを知る
・ 失敗を恐れない
などではないでしょうか。

 それから最後に私の一番の宝は「人」であり、最も重い価値観だと思っております。 それがなければ、面白い人生にはなり得ません。エネルギーの使いどころが、「自分」のことばかりを考え「他人」の評価を気にする段階から、「他人」のためを考えて「自分」の評価を脇における段階に早く到達したいものです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

文京学院大学 福井 勉


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